こんにちは。えびちです。
大型で、強靭な足を持ち、空を飛ぶことなく地面を駆け回ることに特化した鳥。
…と聞くと、真っ先に思いつくのは?
ダチョウだわな。
では、ダチョウとよく似た姿をしていて、身体は茶色っぽくて、オーストラリアに生息している鳥は?
…エミュー?
ザッツライト!その通り。
ダチョウとエミュー。
どちらも動物園の人気者ですよね。
この2種は「飛べない」「体が大きい」「首が長い」「脚が太く長い」「走るのが速い」など、共通点が意外と多い鳥さんです。
シルエットを比較してみると、なんとこの通り!
ほとんどそっくりですね!!
実際「エミュー」で検索すると、ダチョウの写真が出てきたりします。
みんな混乱しているみたい。
こんなにそっくりな2羽ですが、生息地が全く違っていることを知っていましたか?
ダチョウ→アフリカのサバンナ
エミュー→オーストラリアの草原
そうなると食性や性格、生態、体の機能が変わってくるものです。
ということでこの記事では、見た目はそっくりだけど中身は全然違う!
ダチョウとエミューの違いについてまとめてみました。
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見た目を見比べてみよう
先程のシルエットクイズの通り、見た目がそっくりさんなダチョウとエミューですが、よ〜く目を凝らしてみると僅かな違いがあったりします。
まずは顔周辺から見比べていきましょう。
顔の違い
こちらお二方の顔アップ写真。
一番に気がつくのは目の色でしょうか。
エミューは明るいオレンジ色の目をしていますね。
太陽の下で覗くと、とっても綺麗です。
羽毛とクチバシの色も違いますね。
エミューはどちらも黒に近い色ですが、ダチョウの羽毛はクリーム色、クチバシはピンク色です。
…なんか、エミューは闇堕ち版ダチョウみたいな色合いしてんだな。
胴体の比較
次は胴体を比較。
エミューは体の大部分が灰色をしていますね。
ただ、頭と首は若干青くなっています。
毛質はふわふわというよりしなしな?ペタペタ?といった感じ。
エミューの羽は細く長く、バナナのように湾曲しています。
さらに一つの羽の軸から2つの羽が生えているというおもしろ構造をしていて、ちょっと珍しい。
俺、エミューの羽毛って植物の繊維をワサーって背中からかけてるようにしか見えなかったんだよな。
現代の鳥にしては珍しい、原初的な羽毛を持っています。
ダチョウは首・尾・翼がクリーム色で、体は黒茶をしています。
ダチョウの羽毛はとても毛の密度が高いため、毛ばたきとして加工されたりもしているんですよ。
翼はあるの?
うーん?一見するとないように見えますが、どちらもちゃんと小さな翼がついているんです。
ちなみに、これらの飛べない鳥は走鳥類と呼ばれています。
ダチョウは求愛ダンスの時に翼をワサワサさせるので、よくわかります。
まだそれなりに大きな翼が残っているようです。
エミューは翼が退化してしまって、ほとんど残っていません。
でも、よーく見ると、翼の名残が残っているんですよ。
13cmの小さな翼です。
これを翼とカウントしていいのかはわかりませんが。
飛べないのに、なんでついてるんだろーね。
この小さな翼ですが、中にツメがついているそうです。
恐竜を連想しちゃいますね。
体重と体高の比較
身体の大きさに違いはあるのでしょうか?
体高は2.1〜2.8 m(オスの場合)
体重は最大で150 kg
体重150kgか。
もっと軽自動車くらいあるのかと思った。
完全に走るのに特化しているので、体重は比較的軽いようです。
それでもダチョウは鳥の中で一番の重さと大きさですから、恐れ入りました。
お次はエミューです。
体高は約1.5〜2.0m
体重は最大で60kg
大きさでは鳥の中で第2位にエミューが位置しています。
足の指の本数は2本と3本
通常、鳥の足の指は4本です。
飼い鳥であるインコや文鳥も4本ありますね。
一方で、ダチョウの指の数はなんと2本しかありません!
ダチョウは足の指を2本退化させることで、代わりに最大時速70キロで走ることができるようになりました。
さあ、エミューは最大時速50キロで走ることができます。
いったい何本の指を犠牲にしたのでしょうか…。
答えは1本。
ダチョウには負けますが、指を一本失うことで地上を歩く鳥の中で見事No.2のスピードを手に入れました。
面白い進化をしたんだネー。
俺は絶対ごめんだけど。
ヒナの時はどんな色?
エミューとダチョウ。
意外と違うことがわかってきましたね。
では、ヒナの姿に違いはあるのでしょうか?
【答え】正解は7月はじめに生まれたダチョウのヒナです♪可愛らしい姿はもちろんですが、必見は足!恐竜っぽいです!!大きくなるとこの足で素晴らしい俊足ランナーになります。 pic.twitter.com/SDmeDCPBN2
— マザー牧場 (@motherfarm) July 31, 2014
ダチョウのヒナです。
首元にうっすら黒ブチの模様がありますね。
こちらはエミューのヒナ。
全身シマシマです!
大人のエミュー面影は全くありません。
これは一目瞭然ですね。
卵の色はこんなに違う!
ダチョウの卵はクリーム色です。
重さはなんと1.6㎏!
地球上に生存する一番大きな卵で、鶏卵の約25倍です。
ダチョウは色々と規格外ですね。
これは有名ですが、エミューの卵はエメラルドグリーン色。
卵の大きさはダチョウよりひとまわり小さい650g前後です。
エミューとダチョウの生態
生息地
エミューは、タスマニアなどの島を除くオーストラリア全土の草原やサバンナなどに生息しています。
現地ではオーストラリアの黒鳥にも選ばれているくらい身近な鳥さん。
まさにオーストラリアといえば!の代表的な動物ですね。
(コアラには負けますが…)
一方でダチョウはアフリカのサバンナや砂漠、低木樹部などに生息しています。
10羽程度の小さな群れで生活していて、肉食獣に襲われても自慢のキックで撃退します。
何食べる?
ダチョウは草食性。
過酷なアフリカの乾燥地帯でも生きていけるように、水分のほとんどを植物から摂取しています。
そのため、食事は植物の草や根、種などがほとんど。
ですが、時には昆虫、トカゲなどの生物を食べることもあるようです。
エミューの食性は雑食。
草、花、果物、昆虫などをモリモリと食べます。
ダチョウと同じく砂漠化しつつあるような土地でも生息可能ですが、この食性のせいで現地では農地を荒らす害鳥として人間から疎まれた過去があります。
性格に違いはあるのか
ダチョウは警戒心が強く、ビビりな性格。
あんなに体が大きいのに!
ビックリするとハイエナを蹴り殺せるパワーで蹴りつけるので、人間はひとたまりもありません。
知能はあるのかというと、残念ながら頭は悪いようです。
脳みそは全体の0.03%しかないようで、記憶力も「3歩歩いたら忘れる」状態。
野生のダチョウは知らないヤツが群れに入ってきてもわからないそうですから、致命的です。
その一方で、好奇心は旺盛。
人間にも興味を持って近づいてきます。
エミューは比較的温厚な性格で、日本でもペットとして飼っている方もちらほらいるようです。
ただし、ビビりは健在。
ちょっとの物音にも敏感です。
仲間だと思った相手には懐くようで、なんだか愛らしく見えてきますね。
とはいえ個体差があるので、一概には言えないでしょう。
エミューは『ヒクイドリ目』?『ダチョウ目』?
最後に生物分類の観点から見ていきましょう。
ダチョウとエミューは同じ鳥類ですね。
では、そのひとつ下の階級はというと…
ダチョウ→『ダチョウ目』
エミュー→『ダチョウ目』か『ヒクイドリ目』
となっています。
ん?なんでエミューだけやんわり書いてるんだ?
これがまた、ややこしいんですよ…
もともとエミューは『ヒクイドリ目』の下に『エミュー科』として分類されていました。
しかし1979年、生物学者エルンスト・マイヤーが『ヒクイドリ目』を含む4つの目を『ダチョウ目』に統合したことで、エミューは『ダチョウ目』の下に『エミュー科』として分類されることに。
しかし近年、この説は間違いであるとの指摘があり、現在は再び『ヒクイドリ目』と『ダチョウ目』とが分けられるようになりました。
あっちへ行ったりこっちへ行ったり、エミューは大変です。
えーっと、ってことはエミューは『ヒクイドリ目』でいいんじゃねーの?
それが、現在も人によって意見が分かれているようです。
「エミューは『ヒクイドリ目』だ!」
「いや、やっぱりエミューは『ダチョウ目』だ!」
今後研究が進んで、分類がしっかりと決まるといいですね。
エミューとダチョウってなにが違うの?生態・生息地・ヒナの見た目まで徹底比較!|おわりに
一気に駆け抜けていきました!
いかがだったでしょうか?
調べてみると、足の指の本数や翼の大きさ、ヒナの見た目など、興味深い違いが見えてきましたね。
最後の分類の話は難しくて半分寝てたぞ、俺は。
一見してみると非常に良く似ているダチョウとエミューですが、生息環境に適応するために各々が独自の進化をしていたようです。
走鳥類は翼を持たない代わりに、走ることに特化した鳥たち。
動物園で出会ったら、ちょっと立ち止まって思いを馳せてみてください。
では、ここいらで失礼します。