こんにちは。えびちです!
街中で尻尾をピロピロ、足をチョコチョコ。
よく人間の近くに出没する、白黒でスズメほどの大きさの『ハクセキレイ』
人間のすぐ近くで見られ、そのかわいい姿から人気な鳥さんです。
身近な鳥の代表格ハクセキレイですが、よくよく考えてみると
「ハクセキレイは渡鳥?留鳥?」
「ハクセキレイって海外にもいるの?」
「他のセキレイ科との見分け方は?」
「なんで尻尾をピロピロさせてるの?」
など、疑問が次から次へと湧いてきます。
言われてみると、たしかに!
ということで、今回は『ハクセキレイ』について根掘り葉掘り調べてみました。
それでは、まずはハクセキレイの特徴から!
読みたい記事にジャンプ
ハクセキレイの特徴
大きさ、仕草、模様、鳴き声
①大きさ
黒と白の体色をしたセキレイ科の小鳥です。大きさは21cmで、体の大きさはほとんどスズメと同じくらい。
体形は横長で、尾は胴体と同じくらいの長さがあります。
日本では最も身近なセキレイであり、日本全国東西南北どこにでもいる印象です。
②仕草
長い尾を上下にピコピコ振りながら歩く仕草がとてもかわいらしい鳥さん。ちなみにこの仕草は『尾振り』と呼ばれ、小鳥たちにしばしば見られる特徴でもあります。
③模様
頭から背は黒色か灰色で、腹と翼は広く白色。
模様がよく似ているセグロセキレイと混同しやすいですが、よく観察すれば見分けるのは簡単です。
④鳴き声
アンテナや電線など目立つところで、「チュピ、チュピ、チュピ」「チュンチュン」「チィチィ」と鳴く姿が目撃されています。
一声ずつ区切って鳴くのが特徴。
生息地は?海外にいるの?
海外には日本のハクセキレイによく似た【タイリクハクセキレイ】という種が生息しています。
タイリクハクセキレイは世界に多く生息しており、それらの亜種にあたるのがハクセキレイです。
ちょっと難しいですが、日本で見られるハクセキレイは、世界中にいるタイハクセキレイのそっくりさん。
亜種なので、ほんのちょっと模様が違うかな〜?ほどの違いですね。
見分け方は目の横の『過眼線』と呼ばれる模様の有無で、タイリクハクセキレイにはこれがありません。
ハクセキレイの生息地は、ユーラシア大陸のほぼ全域。
もちろん日本も例外ではありません。
海外ではハクセキレイのことをしばしば「Japanese Pied Wagtail(日本のマダラなセキレイ)」と呼ぶそうで、海外から見てもハクセキレイは日本に親しみの深い鳥さんのようです。
生息環境
海岸、河川、池沼など水辺の他に、農耕地、駐車場、道路、公園など、人間の住む都市での目撃情報が多いハクセキレイ。
ハクセキレイは、セキレイ科の中で最も都会に進出しているといっても遜色はないでしょう。
それくらい環境適応能力が高い鳥さんなんです。
芝生の上や住宅街をちょこちょこと歩いている姿を見たことがあるのではないでしょうか?
ハクセキレイは開けた場所を好む習性がある上に警戒心が薄い鳥なので、人の目にも留まりやすいのかもしれません。
ちなみに、動きは素早いですが、障害物のない広い場所にいるので野鳥観察にはもってこいの鳥さんなんですよ。
しっぽをピロピロさせる意味とは
ハクセキレイといえば、足をちょこちょこ、尻尾をピロピロ…。
なんとも可愛らしい歩き方に、思わず目で追ってしまう鳥さんですよね。
あの歩き方に何か意味はあるのでしょうか?
ハクセキレイは雑食性ですが、その中でも虫を好んで食べます。
虫は地面にいますから、小さな体で虫を効率よく探すためにせかせかと足を動かしているのでしょう。
さらに尾羽をピロピロさせる行動ですが、これはハクセキレイに限らず他の小鳥もよく行います。
実はこの行動はまだ理由が解明されていません。
「身体のバランスをとっているのではないか」
「尻尾で仲間とのコミュニケーションをとっているのではないか」
「捕食者への威嚇の行動ではないか」
などなど、さまざまな説がありますが、まだ詳しいことはわかっていないようです。
あの澄ました顔で「これ以上近づくな!」って言ってるのかな?
それはそれで面白いね。
他のセキレイ科の鳥は?
セキレイ科は亜種が多い
日本には実にたくさんのセキレイ科の鳥たちが生息しています。
尻尾が長くて、おなかがぽっこり….どれも似たようなかわいらしいフォルムをしているセキレイ科ですが、種によって生息地がクッキリ分かれているのも特徴です。
これから紹介する『ハクセキレイ』も合わせた『セグロセキレイ』『キセキレイ』の3種は、主に川の上流、中流、下流と棲み分けをして生活しているのです。
そっくりさんの『セグロセキレイ』
「背黒」という名前の通り、背中が黒い鳥さんです。
頬も黒く、ハクセキレイと比べると顔に占める黒の面積が広いのが特徴。
都会に馴染んでいることで知られるハクセキレイですが、反面セグロセキレイは人の少ない渓流や河川を好むので、会える機会は少ないかも。
主に川の中流あたりに生息しています。
澄んだ上流の川に生息している『キセキレイ』
胸・腹・腰のカラーが黄色であることから、「黄鶺鴒(キセキレイ)」という名が付けられました。
名前の通り、うっすら黄色がかったおなかがかわいいですね。
他のセキレイは白と黒のツートンカラーが多いですが、キセキレイはしっかり黄色いのでわかりやすいですね。
生息しているのは九州より北のエリア。
水辺、特に渓流に沿って生活するものが多いそうですが、東京・神奈川・埼玉などの都市部で撮影された例もあるようです。
ハクセキレイ、セグロセキレイよりも上流の川に生息しています。
ハクセキレイはなぜ人間のそばで生活しているのか
『キセキレイ』は川の上流、『セグロセキレイ』は川の中流に生息していますよね。
では、ハクセキレイはどうでしょうか。
この流れでいくと、下流?
うーん?
特に川の近くを好んで生息しているようにはみえないですよね。
じつは、その認識であっています。
というのも、実はもともとハクセキレイは下流に生息していた鳥でして。
それが時代と共に川の下流に人間が住み始め、ハクセキレイは人間に追い出される….のではなく、人間と共存する形で適応していったのです。
そして現在。
家の隙間を利用して巣を作ったり、駐車場で食べ物をねだったり…..人間とうまい具合に折り合いをつけて、案外したたかに生きているようです。
とってもズブトイ、いえ、適応能力の高い鳥『ハクセキレイ』なのでした。
ハクセキレイは渡鳥だった!?
ハクセキレイの変化の歴史
かつてハクセキレイは主に北海道で繁殖し、本州では冬場にしか確認出来ない渡り鳥という認識だったそうです。
しかし、1970年ごろから急速に分布を広げ、東北地方、関東地方と年を追って南下していきました。
その結果、現在では九州地方以南を除くほぼ全国で繁殖しています。
今でも冬のほうが数は多いそうですが、現在ハクセキレイはすっかり『日本の留鳥』というポジションを手に入れてしまいました。
まとめると、昔ハクセキレイは北海道のみで繁殖し、本州には冬に飛来する渡鳥だった。
しかし、近年になって急速に分布を広げて全国に定着した。
ということなんですね!
ハクセキレイの抱える問題
ものの数十年ほどで日本の端から端まで生息域を広げてしまったハクセキレイ。
「それのどこが問題なの?」と思うかも知れませんが、問題アリアリなんです。
彼らがそこかしこで定住するようになった結果、もともとそこに住んでいた鳥たちの生息地が追いやられてしまっているようです。
結果セグロセキレイやキセキレイの個体数は減少。
ハクセキレイが日本に定着していくのは喜ばしいことですが、一方で元々住んでいた種の生息域が狭まっていく….。
問題は尽きません。
おわりに
しんみりした終わり方になってしまいましたが、この記事をきっかけに少しでもハクセキレイに興味を持ってもらえたら幸いです。
ハクセキレイは人間の環境にうまく馴染むことができた野鳥。
見つけやすく、警戒心もそれほどないので野鳥観察にはもってこいの鳥さんです。
言葉だけでは語り尽くせないほどの魅力がある鳥さんなので、出会えた際はじっくりと観察してみてください♪
では、失礼します。