こんにちは!えびちです。
春から夏にかけて。
鳥たちが活発にさえずりはじめる季節です。
住宅街、森、畑…歩いているだけで、実にさまざまな鳥の鳴き声が聞こえてくることでしょう。
中には思わず2度聞きしてしまうような、ユニークなさえずりを披露してくれる鳥さんも。
この記事では日本に生息する野鳥の『聞きなし』をまとめてみました。
あの鳥の鳴き声を言葉にしてみると、どんなフレーズになるでしょうか?
調べるとたくさん出てきたので、下の3つの部門に分けて解説していきます。
『有名な聞きなし部門』
『昔の言葉の聞きなし部門』
『おもしろ聞きなし部門』
ワクワク!見ていこーぜっ
そもそも『聞きなし』ってなに?
『聞きなし』はフレーズ置きかえ遊び
そもそもさー、さっきから言ってる『聞きなし』ってなんだ?
あび坊、知らないでノリノリだったんですか…。
野鳥に詳しい方は知っているかもしれませんが、この記事の根底の部分なのでしっかり説明させてくださいっ。
『聞きなし』とは、「鳥の鳴き声を人間の言葉に当てはめて聞くこと」である!
つまり….どゆこと??
つまり、昔の人が
「なんかあの鳥の鳴き声、こんなフレーズに聞こえない?」
と、その場のノリでつけたフレーズがそのまま定着して、現在『聞きなし』として残っている、ということなのです。
おもしろいね!
有名なところでは、下のような聞きなしがあります。
⭐️ウグイス=「法、法華経」
⭐️コジュケイ=「ちょっと来い」
なんとなくイメージできますよね。
これも立派な『聞きなし』です。
『聞きなし』は豆知識というか、お遊びみたいなものなので、「絶対覚えておかなきゃ!」といったものではありません。
ただ、鳴き声とフレーズを重ねて覚えておくと、より鳥の鳴き声を覚えやすくなるという面もあります。
なによりユニークで面白いです、『聞きなし』!
実は大昔から?『聞きなし』の歴史
『聞きなし』の言葉自体がはじめて作られたのは1921年ですが、きっと「鳥の鳴き声のフレーズ遊び」はむかし昔から人々の間で親しまれてきたものなので、「かなり歴史が古いのでは?」とえびちは考えています。
それこそ平安時代からそれっぽいものはあったんじゃないでしょうか?
ホトトギスの聞きなし「法華経」なんて、現代人には馴染みがない発想ですよね。
昔の人々の考えが知れるのも『聞きなし』のイイところです。
(考えが古すぎて現代人には理解できない『聞きなし』もありますが….)
そんなとこも含めて、『聞きなし』を見ていただければと思います♪
前置きはいいから、はやくはやく!
有名な『聞きなし』部門
「ちょっと来い、ちょっと来い」
この聞きなしの主は『コジュケイ』!
コジュケイは、聞きなしにしては珍しい
「ホントにそう聞こえる」
パターンの鳥です。
(だいたいの聞きなしはムリヤリ感がすごい)
まんまだ!
「チョットコーイチョットコーイ」って、たしかに聞こえますよね!
他には「ペチャパイ」なんてのもありますが…ちょっとお下品なのでやめておきましょう。
「法、法華経」
おそらく、最も有名な『聞きなし』がこれ。
もちろん『ウグイス』です。
今でこそ ウグイス=ホケキョ みたいなイメージがついてますが、「ホケキョ」と鳴き声を表現するようになったのは、江戸時代からだそうです。
当時栄えていた大乗仏教の『法華経』を意識していたのでしょうか。
ウグイスは別名「経読み鳥」とも言われています。
「法、法華経!法、法華経!」と、お経を読んでいるように聞こえるからです。
『聞きなし』は作られた当時の人々の文化や考えが汲み込まれているんですね。
「特許許可局」
「特許許可局」
こちらは『ホトトギス』の聞きなしです。
ホトトギスの鳴き声は「キョッキョッ、キョケキョキョ」といった感じ。
ウグイスやコジュケイほどハッキリではありませんが、「特許許可局(とっきょきょかきょく)」と言っているのが聞き取れます。
他には「テッペンカケタカ」という聞きなしも有名です。
「アホー、アホー」
この聞きなしは『ハシブトガラス』です。
歩いていてカラスに「アホー」と言われたことのある人も多いのではないでしょうか。
漫画でも「アホー」と鳴いているコマがあります。
実はこれも『聞きなし』!
カラスは、時に40種類以上ものバリエーション豊かな鳴き声を使いこなします。
一つの鳴き声でも「アオー」「アポゥ」などなど、個体によって細かな違いがあったりして、面白いですよ。
昔の言葉の『聞きなし』部門
「長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛」
「長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛」
いやに具体的な聞きなしを披露してくれるのは『メジロ』さん。
メジロは長く続く複雑なさえずりをもつことで知られています。
「チーチュルチーチュルチーチーチュルチー」と、言葉で表すのが難しいくらい速いリズムで捲し立てるように鳴くのですが、このメジロの鳴き声にも聞きなしがあるのです。
「長兵衛、忠兵衛、長忠兵衛」
正直、全く聞こえません。
速すぎて。全く。
個人的に全然聞こえない『聞きなし』ランキング第1位は、メジロさん、あなたです。
もし聞こえたって場合はぜひともえびちに教えてください。
(いないだろうけど…)
「一筆啓上仕り候」
読み方は「いっぴつけいじょうつかまつりそうろう」
昔の言葉すぎて、現代人には理解ができないですよね。
この聞きなしは『ホオジロ』のもの。
鳥好きの間ではけっこう有名な聞きなしですが、意味はわかりますか?
「一筆啓上」は「簡単に申しあげます」の意味です。
「上仕り候」はいわゆる丁寧語で、「〜ます、です」ということ。
合体して「一筆啓上仕り候」これは昔の男子が書状の初めに書いた文のようです。
話はホオジロへ戻って。
ホオジロは「チョッピィ チチュ チュチュリチュー」などとさえずり、この声が「一筆啓上仕り候」と聞きなしされているみたいですね。
他の聞きなしでは「札幌ラーメン味噌ラーメン」なんてのもありますが、これは聞き比べてもピンときませんでした。
「仏法僧」
「仏法僧」こちらの聞きなしの正体は『コノハズク』
日本で一番小さいフクロウの仲間です。
鳴き声が「ブッ ポー ソー(仏法僧) 」と聞こえることから、このような聞きなしがされました。
とっても神秘的で綺麗な鳴き声ですね。
現代ではあまり馴染みがない「仏法僧」、これは「仏法を行ずる僧」の意です。
聞きなしが作られた当時は普通の言葉だったのでしょう。
なあ、たしか『ブッポウソウ』って名前の鳥もいたよな?
鳴き声が「ブッポウソウ」なのはコノハズクなら、本物の『ブッポウソウ』は…
あれ?わかんなくなってきた!!!
さらっと説明しましょう。
実は『ブッポウソウ』という名前の鳥もいるのですが、声の主をコノハズクと間違えられてしまったのです。
本当のブッポウソウは悪声で、実際は「グワッグワッ」とカモのような鳴き声でした。
『ブッポウソウ』は見た目が美しいだけに声も美しいはず!と、勘違いをされていたみたいです。
不憫なヤツだなっ
「お菊二十四」
「お菊二十四」は『イカル』の聞きなし。
「キコーキコーキー」という鳴き声から発想されました。
「お菊」や「お松」は江戸に多い名前ですから、その辺りの時代にこの聞きなしが作られたのでしょうか。
お菊ちゃんが今年で24歳なことを主張し続けるイカル、なんか面白いですね。
おもしろ『聞きなし』部門
「人とって喰う」
この聞きなしの主は、『キジバト』さん。
「ホーホーホッホッホー」
と、独特なリズムで鳴く森に住むハトです。
鳴き声がフクロウっぽいので、よくフクロウと間違えられることで有名です。
キジバトはこちらの記事でも詳しく紹介しました。
キジバトの聞きなしは「人とって喰う」
聞こえなくもないような…?
それにしても物騒。
人をとって食べないでくだーさい!
「キッスミー」
「キッスミー!」
こちらのかわいい聞きなしの正体は『サシバ』
サシバは全長50cmのタカの仲間です。
ホントにそうやって聞こえるのか〜?怪しいぜ。
ちょっとぉ!今までが残念だったからって、疑ってるでしょ!
サシバはホントに言ってるんですから!
サシバの鳴き声を文字に起こすと「ピックィー」という感じ。
ピックィー…キックィー…キッスミィー…キッスミー!!
ほら!ね!ね!
おおっ!たしかに聞こえるぜ!
(バカなヤツほど聞こえやすいんじゃね?)
「ルリビタキだよ〜ん」
鳴き声の主はその名の通り『ルリビタキ』
これ、初めて知った時に笑っちゃったんです。
たくさんの聞きなしの中で一番ふざけていて(笑)
でももっと面白いのが、全然正確じゃないんですよ、この聞きなし。
個人的にまったく聞こえない『聞きなし』ランキング第1位です。
えびちの感性がおかしいのでしょうか。
みなさんも一回ルリビタキの鳴き声、よく聞いてみてください。
それでもし「ルリビタキだよーん」って鳴いているのが聞こえたら、あなたも立派な聞きなしマスター。
誰だよ、こんな聞きなし作ったヤツ!
「へっぴりじっちゃお茶あがれ」
この聞きなしは『ホオアカ』
へっぴり腰の爺ちゃんにお茶を勧めている場面でしょうか。
ホオアカの鳴き声は「チュッピィジジチュ、チーチーチュルピー」と、チョット複雑です。
「へっぴりじっちゃお茶あがれ」
うーん。
聞こえなくもないけど、言われなければ分からないかも。
この聞きなしを作った人の想像力、凄すぎやしませんか。
「月日星、ホイホイホイ」
「月日星、ホイホイホイ」
この妙な聞きなしの正体は『サンコウチョウ』です。
なんとサンコウチョウは聞きなしがそのまま名前になっちゃった鳥さん!
鳴き声が「ツキ(月)ヒ(日)ホシ(星)ホイホイホイ」と聞こえることから、名前が「三つの光」つまり
『サンコウチョウ』になったと言われています。
めっちゃ回りくどい名づけしてんな。
山椒辛くて「ヒリリン、ヒリリン」
「ヒリリン、ヒリリン」
この鳴き声の主は『サンショウクイ』
この鳥さんもひとつ前の『サンコウチョウ』と同じく、聞きなしが名前の由来になったタイプです。
サンショウクイは「ヒリリン、ヒリリン」と鳴くので、何を思ったのか昔の人が
「山椒を食べて辛くてああ鳴いているに違いない」
と結びつけ、名前が『山椒食い=サンショウクイ』になってしまいました。
「土食って虫食って渋ーい」
「土食って虫食って渋ーい」
こちらは『ツバメ』の聞きなし。
そして、個人的にまったく聞こえない『聞きなし』ランキング第3位です。
最初はなんかそれっぽい?気がするのですが、後半はもうぐちゃぐちゃでテキトーにつけたんじゃないかってくらいのムリヤリ感が…。
多分鳴き声の個体差のせいで聞こえづらいのだとは思うのですが、それにしたってひどい!
これはえびちの教訓なのですが、「文字数が多い聞きなしほど正確じゃない」率が高い気がするので、文字の多い聞きなしはまず疑ってかかりましょう。
「焼酎一杯グイー」
「焼酎一杯グイー」と鳴くのは『センダイムシクイ』
割と有名な聞きなしですが、その通りに聞こえるかは別の話。
センダイムシクイの鳴き声をカタカナにしてみると
「チーチヨチヨグィー」といった感じです。
これを頑張って「焼酎一杯グイー」に変換してみてね!
えびちはあんまり、わからなかったなぁ…。
「『グイー⤴︎』の部分だけは聞こえた!」
って人が多いみたいですよっ。
君もレッツ聞きなしチャレンジ。
いろんな野鳥の『聞きなし』(空耳)一覧|まとめ
だいたいこんなものでしょうか。
お疲れ様でした。
かなりの数がありましたね。
今回挙げた聞きなしは、それでも全体のほんの一部です。
『聞きなし』は昔から人々によって作られてきたものですから、ざっと数えても数は 100以上はあると思われます。
あまりにも精度の低いというか、そういうものは除外させていただきました。
それでもかなりムリヤリ感が強いのもありましたが…(笑)
めっちゃいろんな聞きなしがあったよな!
ヘンなのとか、なんか聞いたことあるのとか。
お気に入りの聞きなしは見つかりましたか?
ちなみに、えびちのお気に入りは「キッスミー」の『サシバ』くんでした〜。