みなさんは「ツグミ」という鳥を知っていますか?
あまりメジャーな鳥さんではないので、いまいちピンとこない方もいるでしょう。
ツグミは日本全国に冬にだけ現れる渡り鳥です。
ちょうど今がシーズンということで、これを書いている主の家の前には、毎年この季節になるとたくさんのツグミが遊びに来てくれます。
隠す必要がないので暴露しますが、「この記事を書こう!」と思い至ったのも今朝ツグミを見かけたからです。
我ながらなんとも安直な理由ですね(笑)
せっかくの機会ですから、みなさんにも外出先でヤツと遭遇したときに
「あっ、ツグミだ!」
と気がつけるようになってもらいたいところ。
とってもキュートで魅力的な鳥さんなんです!
では、今回はそんなツグミの生態や歴史についてお話しします。
タイトルが不穏なんだケド…。
それについては最後らへんで語っていきたいと思います。
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ツグミの特徴
ツグミってどんな鳥?
まずはツグミについて知ろう。
ツグミはヒタキ科ツグミ亜科の日本全国で見ることのできる鳥です。
かといって日本の固有種というわけではなく、全世界に沢山の種類のツグミが生息しています。この話は後ほどお話しさせていただきます!
渡り鳥で、毎年寒くなると遠く離れたシベリアからはるばる日本へやってきます。
あのまんまるな見た目で?
君が言えたことじゃないけどね。
滞在期間は秋〜春です。5月初旬まで見られる事もあるそうですが、毎年変動します。
ツグミは、平地から山地にかけての森林・草原・農耕地に生息しています。
河原、公園などの開けた場所を好むみたいで、かなり身近な鳥に感じます。
食べるものは昆虫、木の実、種子など。春には餌を探して地面をちょいちょいしだすので、遭遇確率がグッとUP!
「キョキョッ」とか「クィクィッ」などと鳴き、春になるとボソボソとしたさえずり(ぐぜり鳴き)を行います。
まだらな模様とキュートなフォルム
全体的に茶褐色~黒褐色の身体をしています。大きさは小鳥というには大きすぎる24cm。ちょうどヒヨドリほどです。。重さは80gで、例えるならバナナ一本くらい。
主イチオシはフォルムで、一言で表すととても丸いです。丸い。驚きの丸さ。
ツグミは個体によって微妙に模様が違ったりしますが、おおよそ以下のような特徴を持っています。
- マユゲのような目の上の白いライン
- 頭頂から背中にかけての褐色
- チョコレート色の羽根
- 白と黒のウロコのような模様のお腹
- オレンジと黒のシャープなクチバシ
オスとメスの見分け方
ツグミは外見的な特徴の個体差が激しいため、オスとメスの違いが分かりにくいと言われています。さらに雌雄ほぼ同色なので、外観からの識別は非常に困難。
ですが、微妙な違いがあるので頑張れば見分けることができます。
♂……身体の色や模様が濃く、はっきりしている
♀……翼や背中の褐色味が強く、色が薄い
背中の色がはっきり黒っぽいのがオスってことであってる?
多分。
そんなことより、俺は名前の由来が知りたい。
名前の由来
気になるのは名前の由来です。
名前の由来は、その鳥の生息地や昔の人々の想いなどが反映されていることが多いので、主は調べるのが好きだったりします。
少し前の記事では【シマエナガ】の名前の由来など解説しましたが、もちろんこのツグミにもユニークな由来があります。
ツグミ、ツグミ…。
あんまり鳴かない鳥で「口をつぐんでいる」ようだからツグミ、とか?
残念!でもいい線いってますよ。
ヒントは『ツグミは渡鳥』ということです。
正解発表ー!
ツグミは冬にだけ飛来する渡鳥です。
つまり、夏になるといなくなるので、ぱったりと声を聞かなくなる、急に静かになる、口をつぐんでいなくなるといった理由から「冬が終わると口をつぐむ(いなくなる)鳥=ツグミ」と呼ばれるようになったそうですよ。
渡鳥ならではの理由ですね〜。
ツグミの仲間たち
ツグミは日本固有の鳥ではありません。中国、台湾などのアジアを中心に、世界各地に分布しています。
それらのツグミを含めると、世界には実にたくさんのツグミが生息しているんです。
日本にいるツグミは茶色など地味めな色が多いですが、海外のツグミは派手な色をしていたりするんですよ。
なんでー?
派手なのは熱帯雨林とかに生息する種が多いらしいよ。
日本は過ごしやすい気候だから地味な色になるのかもね。
■世界各地のツグミの種類
アカハラ、シロハラ、ウタツグミ、コマツグミ、トラツグミ、ノドグロツグミ、ノハラツグミ、ハチジョウツグミ、ハワイツグミ、ヤドリギツグミ、ルリツグミ、ワキアカツグミ など…
■そのうち日本に生息している種類
アカハラ、シロハラ、トラツグミ、ノドグロツグミ、ハチジョウツグミ
みんな似たようなフォルムをしているみたいです。さすがツグミ科!
えー、いろいろなツグミを知れたところで、お次は『人間との関わり』についてお話しさせてください。
衝撃ですが、ツグミは昔は食用として広く食べられていた鳥なんです。
人間との関わり
昔は美味しくいただかれていた
日本ではかつて、ツグミなどの小鳥をかすみ網という網で捕らえる風習が広く行われていました。
かすみ網猟は江戸時代から長く続く伝統猟法で、加賀藩など北陸、中部地方の多くの藩では武士のたしなみとして奨励されていたたらしく、明治維新になって武士階級がなくなってからもツグミを捕らえる風習は無くなりませんでした。
この頃の人々には普通に食卓に並ぶ食べ物だったんだ!
どういうふうに食べられてたんだろうね?
やっぱり焼き鳥じゃね?
今となっては知る手段はありません。
野鳥を獲るのは違法ですからね。
ことが動いたのは戦後。「小鳥を捕らえて食べるのは野蛮」という考えが一般に広まり、現代に近づくにつれ徐々になくなっていきました。
現在では鳥獣保護法によって捕獲すること、食べることは禁止されています。
残る悪習
前述でツグミを捕獲ことは禁止されているとお伝えしましたが、残念なことに、現在も密猟をおこなっている地域もあるそうです。
伝統的にカスミ網猟をしていた地方でツグミを食用にする習慣が残り、密猟は完全になくなったとはいえない現状です。
繰り返しますが、現在では鳥獣保護法によって捕獲することは禁止されているので、ツグミの数を減らさないためにも、しっかりと法を守っていかなければなりませんね。
おわりに
渡り鳥のツグミは、冬の時期に日本各地で見ることができる鳥です。
ツグミは比較的身近な鳥さんであり、小鳥というには大きめのサイズですから、バードウォッチング初心者にもおすすめです!
せっかくですから、この冬にツグミを探しに出かけてみるのも良いかと思います。
では、今回はこの辺で!